プロポーズ








「ボク、セシルくんと結婚する気がする」

ロイドさんが突然そんなことを言うものだから、私は飲んでいたミルクティーを吐き出しそうになった。口の中の分をどうにか飲み下して深呼吸をする。ロイドさんは至って普通だった。ミルクティーの入ったティーカップを片手に、マドレーヌを摘んでいる。このマドレーヌはシュナイゼル殿下から頂いたものらしいから、さぞかし美味しい上に高価なものなのだろう。それなのにロイドさんったらお行儀悪くボロボロとこぼしながら食べていて、もう本当に子供みたい!仕方無い人!と私はいつものように溜息を吐いた。

「あ」

私はロイドさんから食べかけのマドレーヌを取り上げて自分の口内に放り込んだ。ロイドさんは気にする様子も無くミルクティーを啜っている。プロポーズじみたことを言ったくせに平然としているロイドさんが憎らしかった。どうせ私の気持ちになんて気付いて無いんでしょう?ただ思ったことを口に出してみただけなんでしょう?

「あの、どうしてそう思ったんですか?」
「ん〜僕は僕がセシルくんのことをきっと好きになると思ったから」
「…え…それって……」
「うん、プロポーズ」
「―――――」

嬉しすぎて涙が溢れてきた。ロイドさんは鳩が豆鉄砲を喰らったみたいな顔で、そんなに嫌だった?なんて的外れなことを言っている。私がロイドさんをずっと好きだったことを、やっぱりロイドさんは知らないみたいだった。



「はい、どうぞ」

落ち着いて、とロイドさんが淹れてくれたダージリンは、今まで飲んだどの紅茶よりも美味しくて、甘かった。